テクノロジーの急速な発展とグローバル化の進展にともない、ますます複雑性・多様性・不確実性が進化するこの時代にあって、子どもたちの可能性を広げ夢を実現するためには、これまでとは異なる力を身につける必要があります。
その様な力を身につけるためには、学校の教育のあり方に変化を起こしていくことが必要です。教師は非常に大きな影響力をもっており、教師自身が21世紀に対応できる素養を身につけなくてはなりません。 私たちは、このサイトを通じて教師の21世紀対応力を高める支援を行います。 ※21世紀型教育の定義「これから子どもたちに求められる力を育む教育」 キーワード「5G」 「5Gの運用が始まる2020年から社会は更に加速度的な変容を遂げるに違いない」 「なぜいまレッジョ・エミリアなのか」
発達1562018AUTUMN ミネルヴァ書房 幼児教育として見るのではなく、教育の本質として捉えてみてはいかがでしょうか。 |
2019MAR04
NEWSPICKS 2019/03/01記事 「時代は変わった。学校はまだか?」を転載しました。 2019JAN08
"Bloom's Digital Taxonomy" verbsに関する情報を掲載しました。 2019JAN書籍紹介
「UDL学びのユニバーサルデザイン」 2018DEC25
福岡県私学協会 グローバル人材育成委員会主幹 「国際理解教育を推進するするためのワークショップ」活動報告をアップしました。 2018DEC書籍紹介
「21世紀の学習者と教育の4つの次元」 2018DEC07
日本私立小学校連合会 全国幹部会でのワークショップをアップしました(12/16から非公開) 2018JUL30
中村学園「食のサミット」の様子を紹介する写真を掲載しました。 2018JUN15
「中村学園三陽ICTの実践」を「21世紀型授業の実践」に追加 「教育のあり方について考えさせられる本の紹介」を追加 |
「時代は変わった。学校はまだか?」 |
NEWSPICKSの記事をそのまま掲載させて頂きます。許可なしですが敢えて。
これまでこどもたちの未来を支える今の教育のあり方と実践の手法について様々な情報を掲載してきました。日本における教育の変革者たちの論調は世界のそれとまったく変わることなく、一般的に言われる21世紀型の教育の実践なのだと改めて感じることです。 |
【デジハリ×N高】若者に世界の「広さ」を伝える教育とは
デジタルハリウッド | NewsPicks Brand Design
2019/3/1
激動のデジタル時代を生き抜くために、私たちはどのようなスキルを身につければいいのか。また、新しい時代に「埋もれない若者」を育てるために、教育はどうあるべきか。
ネットやパソコンが広く普及する前から「デジタル」に特化した教育を行ってきたデジタルハリウッド大学・杉山知之学長と、プログラミングやゲームなど独特の課外授業や全国各地での職業体験を行う「通信制高校の枠を超えた」N高等学校校長・奥平博一氏が、現代のあるべき教育の姿について語り合う。
変化する世の中、変化しない学校
奥平 新卒以来、私はずっと教員です。N高等学校(以下、N高)開校前は、通信制高校に20年近く勤務しました。そこで目の当たりにしてきたのが、社会が変化するスピードにまったく対応できていない学校制度の現実。
10年前、デジタルハリウッド大学(以下、DHU)が開学されたとき、「株式会社立」の大学ということでネガティブな声もありましたが、私は違いました。「これからは、DHUのような形態が当たり前になるはずだ」と信じていたんです。
杉山 大学教育、特に専門教育は、技術革新のスピードが以前とは桁違いに早くなっています。だからこそ、現在進行系で、第一線で活躍する人たちとの接点がなかったら成り立ちません。
奥平 本当にそのとおりですね。私たちN高のプログラミング講座も、ドワンゴで実際に働いているエンジニアに講師をしてもらっています。教科書なんて、作っている間にどんどん新しくなるという考えなので、授業用の教科書もありません。
従来の大学の先生は、論文を何本書いたかで業績を判断されてきました。それが今でも有効な分野もあるでしょうが、変わらなければいけない分野もある。
DHUもN高も、新しい切り口で教育と向き合おうとすると、必然的に「実務家教員」をどんどん連れてこなければいけません。そして、それを実現できるのが、株式会社が起点となった学校のアドバンテージでしょうね。
杉山 DHUの教養科目では、有名な教授に正面から戦いを挑んでいるような若手の研究者にも講師をしてもらっています。そういう方は、自分の研究が絶対に面白いと思っているはず。だからこそ、熱意を持っているし、偉い教授と衝突もする。
講師の方に「授業では先生の研究で一番面白い部分を話してください」とお願いすると、本当に楽しそうにしゃべってもらえます。
奥平 それはすばらしい。
杉山 たとえば、イスラム問題を研究する若い女性研究者がいて、頻繁にフィールドワークにも行っている。「危ないんじゃないかな」と思いますよね。でも、何か魅力があるからこそ、現地に行く。
すごく楽しそうに、自分が夢中になっているものについて話す姿を見ていると、学生にも熱が伝わって、彼らもワクワクしてくる。
しかし、保護者や先生が生徒に「DHUがいいんじゃないか」とすすめてくれるようになるまで、開学から10年ほどかかりましたが、私たちと比べて、N高の浸透スピードは相当早いですね。生徒数も1万人を突破しそうだとか。
奥平 来年度中には達成しそうですね。
杉山 世の中の状況はこの10年で大きく変わり、保護者世代も「これまで以上に想像のつかない世界になるぞ」と認識しつつあります。大学についても、これまで以上に、個人として何を身につけたか、何ができるのかが評価されるようになりました。
10年後も学校名が価値を持ち続けられる大学は、20校くらいになるのではないでしょうか。
校門が“タイムトンネル”のままではいけない
奥平 通信制高校に長く勤めるなかで、自分の目標を持って、それを何とか達成しようと頑張っている生徒にたくさん出会ってきました。でも、「通信制」というだけで、世間は色眼鏡で見てしまう。
だから通信制高校の位置付けや役割、そしてイメージを変えたいというのが私の問題意識です。
世の中がこれだけ変化しているのに、学校ほど世間と乖離しているところはありません。教育の従来の世界観だけでは太刀打ちできないと考え、若者にリーチできるという強みを持つ角川ドワンゴに、「こんな学校はどうだろう」と企画を持ち込んだのが、N高開校のきっかけでした。
那覇から車で約2時間。青い海に囲まれたN高等学校の伊計本校。
杉山 最近の人たち、特にIT系の人たちには、校門が“タイムトンネル”に見えるそうですよ(苦笑)。校門をくぐると、そこは30年前、40年前。過去の世界で授業を受けて、それが終わるとまた校門を通って現実の世界に戻ってくる、と。
奥平 全日制高校は授業だけで予定がギチギチに埋まっていて、それ以外のことをやろうとしても時間的な余裕がありません。一方、N高は高校卒業のための必修授業はやりつつも、いわゆる教育課程外の学習のほうに注力した高校です。
角川ドワンゴの強みを生かしたネットやプログラミングといった方面ばかりではなく、高校生という年齢層において重要な「社会との接点」をよりよく創り上げるため、雛人形づくりやマタギ体験などの職業体験も行っています。
杉山 職業体験授業は、本当にユニークな試みですね。
岐阜県関市で行われた刀鍛冶体験の様子。
奥平 世の中には知らないことがたくさんある。そのひとつとして、ローカルで一生懸命伝統を守っている人がいることを知ってみようという趣旨です。
杉山 いかにして世界の広さを知ってもらうかは、私たちも腐心しています。従来の高校を普通に卒業するだけでは、身につけられる知識の範囲はものすごく狭い。勉強ができる子ほど、最後は受験勉強に集中してしまいます。
しかも、本来は教科の枠を超えて関連があるものなのに、授業では教科ごとに完全にセパレートして教えなければいけない。そういう意味では、デジタルハリウッド大学の入試問題は受験産業からは「悪問」とされています。
現代国語や小論文の試験問題でも、情報系の話題がある程度わからないと読みこなせないような出題をしますから。
ある年のDHUの入試問題。AI等の基礎知識がないと書けない小論文になっている。
奥平 でも、その問題を見て、「おっ」と思うような子のほうが、DHUに向いているってことですよね。
杉山 デジタルコンテンツの制作者が知っておくべき知識は、非常に広範です。だからこそ、DHUでは教養科目を充実させています。「こんな世界があるんだ」とさわりだけでも知っているのと、まったく知らないのとでは全然違う。
存在さえ知っていれば、ネットでいくらでも情報を得られますから。英語が使えれば、アメリカの一流の大学の授業だって、無料で見られる時代ですしね。
かつて学校は、最先端の学びの「ユートピア」だった
奥平 学校は大抵、高い壁に囲まれています。昔は学校外の世間のほうが貧しくて、情報がなかった。そういう環境から離れたユートピアを作り上げるために、高い塀が必要だったんですよ。
私が小さい頃、学校にはカラーテレビや顕微鏡があって、知らない世界がその先に広がる、最先端の場所だった。ところが、今は学校のほうが遅れてしまっている。だから、あの壁はもう要らない。むしろ学校から世の中に出て行くべきなんですよ。
(画像:iStock)
杉山 同じ場所に集まって、ずっと一緒に授業を受ける、という環境は、コミュニティのあり方も限定してしまいます。建前上は「個性豊かに育てる」と掲げていても、現実では、なかなかそうはならない。
「みんなと一緒じゃなきゃいけない」という同調圧力が働いて、変わっているといじめに遭うこともある。
奥平 ◯◯市、あるいは◯◯区の、小さな小さな地域コミュニティの中で、価値観を認めてもらえない。すると、子ども自身も小さく小さくなってしまいます。ちょっと飛び出すだけで、もっと広い世界があるのに。そんなことではいけないですよね。
杉山 そもそも、従来の学校教育は「得意なところを褒める」のではなく、「これが苦手だから、せめて平均まで上げようよ」という減点方式なんですよ。
奥平 「どうしても苦手なら、数学はいいよ。英語が得意なんだから、英語で生きていけよ」と言う先生はなかなかいませんね。
杉山 大学に入学する18歳の時点で「この道で行くんだ」と決まっている人はごくわずかだと思うのです。いろいろ将来に迷って当たり前だから、DHUの4年間で「社会に出る第一歩はこれでいってみよう」と思える、好きなものを見つけてくれたらいいと思っています。
面白ければ、夢中でやれますから。
奥平 N高には「初めて褒められた」という生徒がたくさんいます。絵を描くのがすごくうまくても、周りに趣味が合う友達がいなくて、大人からは「そんなもの描いてる暇があれば勉強しろよ」と言われ続け、そのうち「こんなことができても役に立たない」と自信を失ってしまう。
逆に、「すごいね」と褒めてもらうだけで、ほかのことにも自信がつくんです。「絵を褒めてもらって、数学の成績がよくなるか」と聞かれたら、「事実、そうなっていますよ」と私は自信をもって答えられます。
杉山 どんな分野であっても、関心を深めていけばいくほど、いろんな知識が必要になってきますからね。何もない平地に一本棒が立ち、その棒が伸びていくにつれて周辺も徐々に盛り上がっていき、最終的には山になるんです。
だから突き詰めれば、一点集中主義でも大丈夫なんですよ。
奥平 定番のスキルを卒なく身につけるよりも、自分だけの、新しいものを見つけ出そうとする意欲を持った子を育てたいですね。
杉山 今18歳の人は、相当な人数が2100年を目撃することになるでしょう。その時代に必要とされるものは、きっと今とは違っているはずです。
高校と大学という違いはありますが、そんな時代にも生き抜ける力を持った若者を、どんどん世の中に送り出していきましょう。
(執筆:唐仁原俊博 編集:大高志帆 撮影:細倉真弓 デザイン:九喜洋介)
デジタルハリウッド | NewsPicks Brand Design
2019/3/1
激動のデジタル時代を生き抜くために、私たちはどのようなスキルを身につければいいのか。また、新しい時代に「埋もれない若者」を育てるために、教育はどうあるべきか。
ネットやパソコンが広く普及する前から「デジタル」に特化した教育を行ってきたデジタルハリウッド大学・杉山知之学長と、プログラミングやゲームなど独特の課外授業や全国各地での職業体験を行う「通信制高校の枠を超えた」N高等学校校長・奥平博一氏が、現代のあるべき教育の姿について語り合う。
変化する世の中、変化しない学校
奥平 新卒以来、私はずっと教員です。N高等学校(以下、N高)開校前は、通信制高校に20年近く勤務しました。そこで目の当たりにしてきたのが、社会が変化するスピードにまったく対応できていない学校制度の現実。
10年前、デジタルハリウッド大学(以下、DHU)が開学されたとき、「株式会社立」の大学ということでネガティブな声もありましたが、私は違いました。「これからは、DHUのような形態が当たり前になるはずだ」と信じていたんです。
杉山 大学教育、特に専門教育は、技術革新のスピードが以前とは桁違いに早くなっています。だからこそ、現在進行系で、第一線で活躍する人たちとの接点がなかったら成り立ちません。
奥平 本当にそのとおりですね。私たちN高のプログラミング講座も、ドワンゴで実際に働いているエンジニアに講師をしてもらっています。教科書なんて、作っている間にどんどん新しくなるという考えなので、授業用の教科書もありません。
従来の大学の先生は、論文を何本書いたかで業績を判断されてきました。それが今でも有効な分野もあるでしょうが、変わらなければいけない分野もある。
DHUもN高も、新しい切り口で教育と向き合おうとすると、必然的に「実務家教員」をどんどん連れてこなければいけません。そして、それを実現できるのが、株式会社が起点となった学校のアドバンテージでしょうね。
杉山 DHUの教養科目では、有名な教授に正面から戦いを挑んでいるような若手の研究者にも講師をしてもらっています。そういう方は、自分の研究が絶対に面白いと思っているはず。だからこそ、熱意を持っているし、偉い教授と衝突もする。
講師の方に「授業では先生の研究で一番面白い部分を話してください」とお願いすると、本当に楽しそうにしゃべってもらえます。
奥平 それはすばらしい。
杉山 たとえば、イスラム問題を研究する若い女性研究者がいて、頻繁にフィールドワークにも行っている。「危ないんじゃないかな」と思いますよね。でも、何か魅力があるからこそ、現地に行く。
すごく楽しそうに、自分が夢中になっているものについて話す姿を見ていると、学生にも熱が伝わって、彼らもワクワクしてくる。
しかし、保護者や先生が生徒に「DHUがいいんじゃないか」とすすめてくれるようになるまで、開学から10年ほどかかりましたが、私たちと比べて、N高の浸透スピードは相当早いですね。生徒数も1万人を突破しそうだとか。
奥平 来年度中には達成しそうですね。
杉山 世の中の状況はこの10年で大きく変わり、保護者世代も「これまで以上に想像のつかない世界になるぞ」と認識しつつあります。大学についても、これまで以上に、個人として何を身につけたか、何ができるのかが評価されるようになりました。
10年後も学校名が価値を持ち続けられる大学は、20校くらいになるのではないでしょうか。
校門が“タイムトンネル”のままではいけない
奥平 通信制高校に長く勤めるなかで、自分の目標を持って、それを何とか達成しようと頑張っている生徒にたくさん出会ってきました。でも、「通信制」というだけで、世間は色眼鏡で見てしまう。
だから通信制高校の位置付けや役割、そしてイメージを変えたいというのが私の問題意識です。
世の中がこれだけ変化しているのに、学校ほど世間と乖離しているところはありません。教育の従来の世界観だけでは太刀打ちできないと考え、若者にリーチできるという強みを持つ角川ドワンゴに、「こんな学校はどうだろう」と企画を持ち込んだのが、N高開校のきっかけでした。
那覇から車で約2時間。青い海に囲まれたN高等学校の伊計本校。
杉山 最近の人たち、特にIT系の人たちには、校門が“タイムトンネル”に見えるそうですよ(苦笑)。校門をくぐると、そこは30年前、40年前。過去の世界で授業を受けて、それが終わるとまた校門を通って現実の世界に戻ってくる、と。
奥平 全日制高校は授業だけで予定がギチギチに埋まっていて、それ以外のことをやろうとしても時間的な余裕がありません。一方、N高は高校卒業のための必修授業はやりつつも、いわゆる教育課程外の学習のほうに注力した高校です。
角川ドワンゴの強みを生かしたネットやプログラミングといった方面ばかりではなく、高校生という年齢層において重要な「社会との接点」をよりよく創り上げるため、雛人形づくりやマタギ体験などの職業体験も行っています。
杉山 職業体験授業は、本当にユニークな試みですね。
岐阜県関市で行われた刀鍛冶体験の様子。
奥平 世の中には知らないことがたくさんある。そのひとつとして、ローカルで一生懸命伝統を守っている人がいることを知ってみようという趣旨です。
杉山 いかにして世界の広さを知ってもらうかは、私たちも腐心しています。従来の高校を普通に卒業するだけでは、身につけられる知識の範囲はものすごく狭い。勉強ができる子ほど、最後は受験勉強に集中してしまいます。
しかも、本来は教科の枠を超えて関連があるものなのに、授業では教科ごとに完全にセパレートして教えなければいけない。そういう意味では、デジタルハリウッド大学の入試問題は受験産業からは「悪問」とされています。
現代国語や小論文の試験問題でも、情報系の話題がある程度わからないと読みこなせないような出題をしますから。
ある年のDHUの入試問題。AI等の基礎知識がないと書けない小論文になっている。
奥平 でも、その問題を見て、「おっ」と思うような子のほうが、DHUに向いているってことですよね。
杉山 デジタルコンテンツの制作者が知っておくべき知識は、非常に広範です。だからこそ、DHUでは教養科目を充実させています。「こんな世界があるんだ」とさわりだけでも知っているのと、まったく知らないのとでは全然違う。
存在さえ知っていれば、ネットでいくらでも情報を得られますから。英語が使えれば、アメリカの一流の大学の授業だって、無料で見られる時代ですしね。
かつて学校は、最先端の学びの「ユートピア」だった
奥平 学校は大抵、高い壁に囲まれています。昔は学校外の世間のほうが貧しくて、情報がなかった。そういう環境から離れたユートピアを作り上げるために、高い塀が必要だったんですよ。
私が小さい頃、学校にはカラーテレビや顕微鏡があって、知らない世界がその先に広がる、最先端の場所だった。ところが、今は学校のほうが遅れてしまっている。だから、あの壁はもう要らない。むしろ学校から世の中に出て行くべきなんですよ。
(画像:iStock)
杉山 同じ場所に集まって、ずっと一緒に授業を受ける、という環境は、コミュニティのあり方も限定してしまいます。建前上は「個性豊かに育てる」と掲げていても、現実では、なかなかそうはならない。
「みんなと一緒じゃなきゃいけない」という同調圧力が働いて、変わっているといじめに遭うこともある。
奥平 ◯◯市、あるいは◯◯区の、小さな小さな地域コミュニティの中で、価値観を認めてもらえない。すると、子ども自身も小さく小さくなってしまいます。ちょっと飛び出すだけで、もっと広い世界があるのに。そんなことではいけないですよね。
杉山 そもそも、従来の学校教育は「得意なところを褒める」のではなく、「これが苦手だから、せめて平均まで上げようよ」という減点方式なんですよ。
奥平 「どうしても苦手なら、数学はいいよ。英語が得意なんだから、英語で生きていけよ」と言う先生はなかなかいませんね。
杉山 大学に入学する18歳の時点で「この道で行くんだ」と決まっている人はごくわずかだと思うのです。いろいろ将来に迷って当たり前だから、DHUの4年間で「社会に出る第一歩はこれでいってみよう」と思える、好きなものを見つけてくれたらいいと思っています。
面白ければ、夢中でやれますから。
奥平 N高には「初めて褒められた」という生徒がたくさんいます。絵を描くのがすごくうまくても、周りに趣味が合う友達がいなくて、大人からは「そんなもの描いてる暇があれば勉強しろよ」と言われ続け、そのうち「こんなことができても役に立たない」と自信を失ってしまう。
逆に、「すごいね」と褒めてもらうだけで、ほかのことにも自信がつくんです。「絵を褒めてもらって、数学の成績がよくなるか」と聞かれたら、「事実、そうなっていますよ」と私は自信をもって答えられます。
杉山 どんな分野であっても、関心を深めていけばいくほど、いろんな知識が必要になってきますからね。何もない平地に一本棒が立ち、その棒が伸びていくにつれて周辺も徐々に盛り上がっていき、最終的には山になるんです。
だから突き詰めれば、一点集中主義でも大丈夫なんですよ。
奥平 定番のスキルを卒なく身につけるよりも、自分だけの、新しいものを見つけ出そうとする意欲を持った子を育てたいですね。
杉山 今18歳の人は、相当な人数が2100年を目撃することになるでしょう。その時代に必要とされるものは、きっと今とは違っているはずです。
高校と大学という違いはありますが、そんな時代にも生き抜ける力を持った若者を、どんどん世の中に送り出していきましょう。
(執筆:唐仁原俊博 編集:大高志帆 撮影:細倉真弓 デザイン:九喜洋介)
21世紀の学習者と教育の4つの次元
平成27年8月5日教育課程企画特別部会資料2−1 「論点整理 関係資料(案)」
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著者 C.ファデル (著),M.ビアリック (著),B.トリリング (著),岸 学 (監訳),関口 貴裕 (編訳),細川 太輔 (編訳),東京学芸大学次世代教育研究推進機構 (訳)
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心理学の研究では、能動的に学びに関わることで、一般的により良い学習成果が得られることが示されている。ただ聞いたり、ただ読んだり、ただ型どおりの練習をしたりするのではなく、調べたり、議論をしたり、違う視点から考えたりすることで、学習者はより高いレベルの思考スキルを鍛えることができる。また、こうした能動的な学習に加えて、学習に関する構成主義的アプローチでは、学びの社会的な側面(知識は多くの場合、社会的に構成されるものである)と創造的スキルとしての側面(知識はそれを作り上げることや作り直すことで学ぶのである)が強調、奨励されている。
Psychological research has shown that active engagement in learning experiences typically leads to better learning outcomes. Instead of just listening, reading, and performing routine exercises, learners exercise their higher level thinking skills by investigating, debating, taking differing viewpoints, and so on. Along with active learning, a constructive approach to learning emphasizes and promotes the social (character) aspects of learning (knowledge is often socially constructed), and the creative skills aspect (knowledge is learned by creating or re-creating it). |
SGH PBL 中村学園「食のサミット」
SGH2期校の中村学園女子中学高等学校(福岡市)今年で2回目の「食のサミット」。本戦に進んだ米国・マレーシア・ウズベキスタン・韓国各1校と日本からの2校が最終プレゼンテーション及びWFP(World Food Programme)への共同提言をまとめました。 PBLの教育的効果を改めて確認できました。
ハワイ私学との連携について |
教育のあり方について考えさせられる本の紹介 |
21世紀型教育の実践に向けて、ハワイの私学と連携・提携のご案内です。
この提携・連携を通じて、学校経営、カリキュラム、指導法、評価法、教員交流、生徒交流、協同学習・研究など幅広い分野において積極的な関係構築を行う予定です。私どもTeach21Japanが本連携のコーディネーターとして運営を行います。 連携の第一段階として現在以下の2校との連携・提携を希望する学校を募集中です。 関心をお持ちの方は [email protected] までご連絡下さい。 |
2017年4月6日から3日間行われたハワイ私学協会主催のカンフェレンスは非常に刺激的でした。サブタイトルにあるように「学校と呼ばれるこの場所を再構築する」。21世紀にあって学校とは?教科とは?何をどの様に教えるのか? 私学に止まらず、公立や世界各地から250名を超える教育関係者が一同に会するこの機会を通じて、世界の教育の今と方向性に触れることができました。
米国における教育改革提唱者として知られる、Tony Wagner (Harvard University Innovation Lab.)と共著で "Most Likely to Succeed"を出版したTed Dintersmithの講演からはこれからの教育のあり方について様々な気づきを与えて頂きました。 同じ名前の映画も制作し全米各地で巡回上映しています。 映画は一般公開されていませんがそのエッセンスは右の映像でご確認下さい。 |
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21世紀型教員研修in Fullerton California 「理論から実践へ」報告
「21世紀型に移行する上での日本の多くの学校での不足とは」
「ショックでした」
2015年と2016年に東京で行ったワークショップを踏まえ、理論を実践に置き換えるべく、California State University Fullertonでワークショップ・セミナーと教員養成の大学の授業に参加し、二つの地元の高校(公立)でその理論がどの様に現場に落とし込まれているのかを "Reflective Learning Walk"の手法を活用しながら体験しました。
訪問先両校とも大凡5年ほど前から21世紀型への改革を行っている学校です。
日本の学校の5年後がこのレベルになるために不足している大きな原因に気づきました。
2015年と2016年に東京で行ったワークショップを踏まえ、理論を実践に置き換えるべく、California State University Fullertonでワークショップ・セミナーと教員養成の大学の授業に参加し、二つの地元の高校(公立)でその理論がどの様に現場に落とし込まれているのかを "Reflective Learning Walk"の手法を活用しながら体験しました。
訪問先両校とも大凡5年ほど前から21世紀型への改革を行っている学校です。
日本の学校の5年後がこのレベルになるために不足している大きな原因に気づきました。
いかがでしょうか。この問いかけにほとんど答えられない学校は、5年かかっても変化しないでしょう。そのことがショックであり、変化させなくてはならないことだと強く感じました。今年の夏はこの課題を解決するためのワークショップを実施します。このままでは日本の子どもたちの未来はありません!そこまで言い切ります。
研修風景
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今回の研修用のサイトです。ご活用下さい。
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ハワイの修学旅行や語学研修に21世紀型教育の
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21世紀型教育ワークショップに関する情報(2016年報告)
ワークショップで頂いた質問への回答は以下の通り
WORKSHOP(A)から
質問1「英語学習初級レベルの生徒たちにCreationやEvaluationまで持っていくことは可能なのでしょうか?」 質問2「アクティブラーニングの手法は現在の受験に対してどの様に有効だろうか」 質問3「学習を発展させていくためには、まず正しい知識(情報)の獲得が必要との話でしたが、knowledgeの獲得の手法もActive Learningでなくてはならないということでしょうか?」 回答) この三つの質問は本質的に似ている要素があるので、一緒に答えたいと思います。 大切なことはアクティブラーニングを画一的な手法として捉えないことです。知識をより良く獲得し、定着、応用できるようにする上で「学習者が主体的に学び」、「学習者間で協力し合う」ことが効果を発揮します。例えばThink-Pair-Shareの手法を通じて学習者の知識理解をより効果的に促進することができるはずです。大切なことは学習科学についての理解をもとに、効果的な学びをいかに実現するかであり、いかにアクティブラーニングを活用するかではないことを念頭に置くことだろうと考えます。 質問4 “I can't imagine clearly about misconception and its revise in teaching English.” 回答)
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質問5 “Demonstration of student knowledge - multiple options - any good website to refer to?”
質問6 “How to incorporate active learning in the classroom while keeping the classroom controlled and students on task?(tips)” 回答) Students might demonstrate knowledge through performances or products, including writing products. So, any productivity tool would work – videos, websites, writing documents (newspaper, story, lab report), posters, presentations – these would all be products. Performances – either you would have them video themselves performing (and thus they can submit digital and even share with other classes) or you would have them perform in class. So – my suggestion would be to look at these productivity tools: http://www.teach21.us/using-digital-tools-and-resources.html WORKSHOP(B)から 質問7 “classroom management + technology in classroom tips/advice?” 回答)
質問8「ESLRsとはDiploma Policyみたいなものとの認識であっているか?」 回答) ESLRs(Expected School-Wide Learning Results)は「教育目標」ですので、 学校が提供する教育的成果にあたります。対してDiploma Policyは学習者が卒業や学位取得に際して、できる様になっていなくてはならないと定めることですから主体者が異なるという大きな違いがあります。 |